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水道水フッ化物濃度調整によって、給水システムや水道管に腐食が起こると主張する人がいますが、心配はありません。
水道水による腐食の原因は、水に溶解している酸素濃度、pH、水温、硬度、塩素濃度、硫化水素物質の有無、ある種のバクテリアの存在などです。仮に、ある水質条件下で既に腐食している水道管が存在していると、その腐食性は、ミョウバン、塩素、フッ化珪素酸、珪フッ化ナトリウムによって増加する可能性がありますが、その場合にはpHを上昇させるという処理方法が決められています。このような処理は、上水道処理場での日常的な操作過程の1つです。
わが国において、京都の山科で行われた水道水フッ化物濃度調整では、京都市水道局が末端水道水や水道管の腐食、給水システム、配水池壁面のコンクリートなどについて詳細に調査しました。その結果、13年間にわたり一定のフッ化物濃度(0.6ppm)の水がほとんど誤差もなく供給され、配水管や末端の水道管、給水システム、壁面コンクリートなどに何ら影響はなかったと報告しています。また工業用水に関しては、山科地区での醤油製造、製氷、清涼飲料水、染色、レンズ研磨などに用いられましたが全く影響がなかったと報告されています。
一方、動植物や水中生物に及ぼす影響については、水道水フッ化物濃度調整した水で採れる農作物、その水道水で育った家畜や淡水魚、またはペット(熱帯魚、その他)に至るまで何らの被害も報告されていません。反対に、ほとんどフッ化物を含まない餌と蒸留水でラットやマウスなどを飼育した研究では、子どもを生まなくなったり、行動の調節が難しくなったりなどのストレスによると考えられる異常が報告されています。さらには、水道水フッ化物濃度調整によりフッ化物が海に流出し、海水魚や海産物に影響を与えると危惧する人がいますが、本来フッ化物は天然にあまねく存在する物質であり、とくに海水には水道水フッ化物濃度調整より高いフッ化物濃度のおよそ1.3ppmのフッ化物が自然に含まれていることから、海水に与える影響は考える必要はないのです。 |